住吉会の本部がわずかな期間で新宿から港区芝浦へと移転を強いられた最大の引き金は、司法による極めて強力な法的判断にありました。2024年6月、東京地方裁判所は新宿の旧本部事務所に対し、暴力団対策法および民事保全法に基づく事務所使用禁止の仮処分決定を下しました。これは、暴力追放運動推進センター(暴追センター)が周辺住民に代わって原告となる「代理訴訟制度」を活用したものであり、住民個人が報復の恐怖に晒されることなく法的手段を行使できる仕組みが功を奏した形です。
暴対法第15条に基づく住吉会 事務所 使用制限命令や仮処分が発効すると、当該建造物への組員の立ち入り、定例会の開催、組織の紋章の掲示などが一切禁じられます。違反すれば即座に警察による摘発対象となるため、実質的に事務所としての機能は完全に麻痺します。かつてのように「居座り」を続けることは法的・物理的に不可能な状況へと追い込まれました。
さらに、警視庁組織犯罪対策部による執拗な「住吉会 事務所 家宅捜索」も組織の維持を限界に追い込みました。特殊詐欺グループや匿名・流動型犯罪グループ(いわゆる「トクリュウ」)と暴力団関係者の接点を解明すべく、大規模な捜査員が機動隊の警護のもとで事務所へ突入する光景が度々全国ニュースで報じられました。防弾チョッキに身を包んだ捜査員による令状執行と押収捜索は、組織の機密保持を困難にするだけでなく、ビルオーナーや近隣住民に対する心理的圧力となり、賃貸借契約の解除や立ち退き要求を決定づける要因となったのです。