ネットショップ等で簡単に入手できる自分で歯石を取る器具には、医療用器具を模した鋭利なハンドスケーラーから、超音波を謳う電子機器まで多岐にわたります。しかし、これらを一般人が口腔内で操作することには、外科手術を素人が鏡越しに行うに等しい危険が伴います。
1. 金属製スケーラーによるエナメル質剥離と知覚過敏の誘発
歯科衛生士は、スケーラーの刃先を歯根や歯冠に当てる角度を「45度〜80度」の間でミリ単位でコントロールし、歯質を削らず歯石のみを弾き飛ばす高度なトレーニングを積んでいます。これを知識のない素人が手探りで行うと、高硬度なエナメル質を削り取り、その下にある象牙質を露出させてしまいます。その結果、歯石自分で取る知覚過敏を発症し、「冷たい水や風が当たるだけで激痛が走る」「元の健康な状態に戻らない」という深刻な後遺症に直面することになります。
2. 歯石取り重曹の真相とアルカリ浸食のリスク
「重曹(炭酸水素ナトリウム)の研磨作用やアルカリ性で歯石が溶ける」という言説もネット上に根強く流布しています。しかし、歯石取り重曹の真相は極めて危険です。重曹のモース硬度は象牙質に近く、粒子が荒いため、直接歯に擦り付けると研磨剤としてエナメル質を傷だらけにします。さらに、重曹のアルカリ性によって歯石が化学的に融解することはありません。傷ついた歯の表面はかえって汚れが定着しやすくなり、着色汚れ(ステイン)や新たな歯石の付着スピードを劇的に早める結果に終わります。
3. 爪楊枝歯石取りリスクと歯肉の壊死・感染症
最も手軽だからとやりがちなのが、竹製やプラスチック製の爪楊枝で歯間をほじる行為です。爪楊枝歯石取りリスクの最たる例は、先端の折れ込みと歯間乳頭(歯と歯の間の三角形の歯茎)の損傷です。爪楊枝の先端が歯周ポケットの中で折れて残留し、異物反応で歯茎がパンパンに腫れ上がって排膿した事例や、突き刺さった傷口から口内常在菌が深部組織へ侵入して蜂窩織炎(ほうかしきえん)を引き起こしたケースも報告されています。