映画レビューサイトやSNS上における映画ファンの生の声・口コミを分析すると、三億円事件を題材にした作品に対する評価軸は、大きく二つの陣営に分かれていることが浮き彫りになります。
「切ない青春もの」としての『初恋』に寄せられる熱狂
大手映画レビューサイト「Filmarks」や知恵袋等のコミュニティにおいて、映画『初恋』は極めて特異な評価を獲得しています。
肯定的なレビューでは、「宮﨑あおいの圧倒的な透明感と切なさに涙が止まらなかった」「三億円事件という無機質な未解決事件が、一人の少女の一途な恋心というフィルターを通すことで奇跡のような物語に変わる」といった声が目立ちます。当時の1960年代の退廃的な空気感や、ジャズ喫茶の薄暗い光、雨の府中刑務所裏の道路を疾走するシーンの映像美は、若い世代や女性映画ファンから根強い支持を集めています。
「硬派な事件検証」を求める層からの厳しい指摘
一方で、昭和の未解決事件そのものに強い関心を持つドキュメンタリー志向の観客からは、厳しい意見も散見されます。
「小娘一人にあんな完璧な現金強奪ができるはずがない」「白バイの操縦技術や発炎筒の取り扱いは素人の女子高生には不可能」という現実的なリアリティに対する違和感です。そうした硬派なサスペンスを求めるユーザーは、後発の『ロストクライム -閃光-』や東映の『実録三億円事件 時効成立』を高く評価する傾向にあります。『ロストクライム』に対しては、「奥田瑛二の枯れた刑事像が素晴らしい」「警察内部の腐敗と隠蔽工作という切り口こそが最も説得力がある」という手応えのある感想が多数を占めています。