日常会話や害虫相談で「兵隊虫」と呼ばれる昆虫の多くは、コウチュウ目(甲虫目)カブトムシ亜目ジョウカイボン科(Cantharidae)に分類される甲虫類を指します。英語圏でもその整然とした隊列行動や軍服を思わせる色彩パターンから「Soldier beetle(ソルジャー・ビートル)」と命名されており、これが日本語訳された呼び名です。
日本国内にはジョウカイボン、セボシジョウカイ、ヒメジョウカイなど数百種が生息しています。体長は約8mm〜18mm前後で、一般的な甲虫のような硬い外翅(エリトラ)を持たず、やや柔らかくしなやかな体表構造を備えている点が大きな特徴です。
「ジョウカイボン(浄海坊)」という独特の和名は、平安時代末期に権勢を誇り、最期に高熱を発して亡くなった平清盛の出家名に由来するという説が有力です。首筋を赤く染めて熱病に苦しむ姿と、胸部が赤橙色に染まるこの虫の容姿が重ね合わされたと伝えられています。
幼虫の特徴にも注目すべき点があります。ジョウカイボン科の幼虫は、土壌や落ち葉の堆積層(リター層)に生息し、体表はベルベットのような微細な毛で覆われた細長い体つきをしています。この幼虫期から極めて旺盛な肉食性を示し、土中の小昆虫やナメクジの卵などを貪欲に捕食しながら成長します。