モチノキは日本の気候風土に適した強健な樹木ですが、庭木の手入れ現場では「急に葉が落ちて枝が枯れ込んできた」という相談が頻繁に寄せられます。丹精込めて手入れをしているつもりでも、剪定の基礎理論を外した処置が木にとって致命傷になっているケースが目立ちます。
現場調査から浮かび上がった、モチノキ剪定失敗の原因における代表格が「表面の刈り込みのみを繰り返す手入れ」です。ヘッジトリマーなどで外側の輪郭だけを揃え続けると、外縁部にのみ葉が密集し、樹冠の内部に太陽光と風が一切届かなくなります。その結果、内側の小枝が日光不足で全滅し、中心部がスカスカの空洞状態に陥ります。
さらに深刻なモチノキが枯れる理由として、真冬(12月〜2月)に太い枝を落とす無理な強剪定が挙げられます。モチノキは常緑広葉樹であるため、冬場でも葉から水分を蒸散させています。活動が極限まで低下している休眠期に太枝を切断されると、傷口の癒合組織(カルス)が形成されず、切り口から冷気と雑菌が侵入して幹全体が腐朽する事態に発展します。