ネット上の情報には一部、事実と異なる解釈が見受けられます。その最たるものが「リゾートブームの終焉による自然淘汰」という言説です。
実際のところ、コロナ禍以降のマイクロツーリズム需要の高まりにおいて、都心から15分という近距離でリゾートステイが完結する同館の稼働率は、週末を中心に極めて堅調でした。さらに、インバウンド観光が完全復活を遂げたフェーズにおいても、海の景色と糸島の食文化を結びつけたコンセプトは海外からの富裕層トラベラーからも高く評価されていました。
盲点となっているのは、建物の「構造的な賃貸借契約」と「ディベロッパーの長期都市戦略」です。ホテル敷地と商業棟は地権構造が一体化しており、商業棟のみを取り壊してホテル棟だけを単独営業させることは、工事車両の動線、騒音・振動、インフラ配管の切断などの観点から物理的に不可能でした。つまり、ホテル単体の採算性の問題ではなく、街区全体のライフサイクル終了に運命を共にしたというのが客観的な事実です。