キューマに劣らず強烈なインパクトを残したのが、恒松祐里が演じたヘイヤ(塀谷朱音)と、磯村勇斗が演じたバンダ(盤田素那香)のふたりです。
恒松祐里が演じるヘイヤは、過酷なゲーム「かまゆで」で重傷を負い、自ら生き延びるために左足を切断するという壮絶なバックボーンを持つ女子高生です。義足に弓矢を組み合わせたトリッキーな戦闘スタイルは、原作ファンからも「完璧な立体化」と評されました。映画やドラマで多彩な役柄を演じてきた恒松ですが、本作では泥にまみれ、獣のような眼差しで生きることに執着するヘイヤの内面を泥臭く熱演。アグニ(青柳翔)との間に芽生える疑似父子のような絆は、血みどろの戦場における数少ない希望の光となりました。
一方、静かなる狂気で視聴者を戦慄させたのが磯村勇斗演じるバンダです。監獄を舞台にした心理戦「どくぼう(ハートのジャック)」で初登場したバンダは、表向きは理性的で物腰柔らかな男でありながら、その本質は他者の心を操り死へ追いやる快楽殺人者。磯村の冷徹な声のトーンと、微かに口元を歪める表情の演技は、密室サスペンスの緊張感を極限まで引き上げました。
バンダの存在価値は、単なる殺人鬼にとどまらない点にあります。彼は現実社会の欺瞞に絶望しており、人間の本性が剥き出しになる今際の国を「理想郷」として捉えていました。この思想こそが、最終回における彼の重大な選択へと直結していくことになります。