利用者が最も疑問を抱きやすいのが、「飲食物の持ち込みが完全自由であるにもかかわらず、なぜ店内のドリンクを1杯注文しなければならないのか」という点です。この一見矛盾するルールの背景には、運営元である株式会社コシダカホールディングスの綿密な事業戦略が存在します。
カラオケ業界において、まねきねこは「極限まで室料を下げて来店ハードルを撤廃する」ビジネスモデルを採用しています。代表的な例が、午前中に提供される名物サービス「朝うた」や、高校生を対象とした「ZEROカラ」です。朝うたでは30分あたりの室料がわずか55円(税込)、ZEROカラに至っては室料無料という破格の設定が敷かれています。
室料だけで見れば採算ラインを大幅に割り込んでいますが、ここに「ワンドリンクオーダー」が組み合わさることで、店舗側は客単価400円〜600円前後の粗利益を確実に確保できます。利用客にとっては「好きなスナックや弁当を自由に持ち込んで長時間過ごせる」という大きなメリットがあり、店舗側にとっては「安定した最低客単価と再来店率を維持できる」という、緻密に計算されたギブ・アンド・テイクの関係が成り立っています。