市販の素を使用しながらも、まるで高級鉄板焼き店のような味に昇華させるには、調理工程における「科学的な順序」を守ることが不可欠です。プロの料理人が実践する最大の秘訣は、サラダ油の代わりに牛脂(ヘット)を用いる点にあります。
ステーキを焼いた後のフライパンには、肉から溶け出した脂とメイラード反応による旨味成分(フォンド・ド・ヴィアンド)が残されています。このフライパンを洗わずにそのまま活用するのが鉄則です。フライパンに残った余分な焦げを取り除いた後、牛脂を少量溶かし、市販のガーリックライスの素を馴染ませます。
合わせるご飯のコンディションも決定打となります。炊きたての熱々で水蒸気を多く含んだご飯を投入すると、調味料の塩分によって米の細胞壁から水分が浸出し、ベチャベチャの仕上がりになってしまいます。少し固めに炊いて粗熱を取ったご飯、あるいは電子レンジで適度に水分を飛ばした冷やご飯を使用し、木べらで米粒を押し潰さないよう切るように炒め合わせます。
仕上げの段階では、フライパンの肌に醤油を数滴垂らし、焦がし醤油のフレーバーを纏わせると同時に、強火で30秒ほど底面を焼き付けて「おこげ」を作ります。このひと手間によって、市販の素特有のインスタント感が完全に消え失せ、ステーキ肉の重厚さに一歩も引けを取らない極上のガーリックライスが完成します。