日本代表が過去4度(2002年、2010年、2018年、2022年)阻まれてきたW杯ベスト16の壁。なぜ今回の森保ジャパンは、その壁を打破できると確信されているのでしょうか。ピッチ内外の取材データと戦術分析から、3つの決定的な理由が浮き彫りになります。
第1の理由は、「欧州5大リーグの主軸で2チーム分が組める選手層の厚み」です。過去の代表チームでは、欧州組が数名、あるいは所属クラブでベンチを温める選手が含まれるケースも少なくありませんでした。しかし現在、リヴァプールで中盤の要を担う遠藤航、レアル・ソシエダの攻撃を牽引する久保建英、プレミアリーグ屈指のドリブラーとして評価を確立したブライトンの三笘薫をはじめ、主力のほぼ全員が欧州トップリーグで毎週のように高強度のプレッシャーに晒されています。ミックスゾーンでの取材に対し、主将の遠藤航が「代表活動は特別な場所だが、日常の基準がすでに欧州のトップにあるため、強豪国相手でも気後れする要素は皆無」と語る通り、心理面・フィジカル面での格差は完全に消滅しました。
第2の理由は、「戦術的柔軟性と試合中の自己修正能力」です。カタール大会で見せた5バックによる専守防衛と電撃的なカウンター戦術から進化を遂げ、現在の森保ジャパンは「3-4-2-1」を基盤に、ボール保持(ポゼッション)と非保持(ハイプレス・ミドルブロック)をシームレスに切り替えるハイブリッドスタイルを確立しました。相手の出方に応じてピッチ上の選手たちが自発的に立ち位置を修正する「ボトムアップ型」の戦術眼が、強豪国との駆け引きにおいて絶大なアドバンテージを生んでいます。
第3の理由は、「5人交代枠を最大限に活かしたゲームクローズ戦術」の成熟です。交代枠が5人に定着した現代サッカーにおいて、日本は前線のタレントを惜しみなく投入し、90分間を通してプレッシングの強度を落としません。先発陣が相手の体力を削り、後半から投入されるウイングバックやシャドーの選手が決定的な仕事を果たす「強度のリレー」は、対戦相手にとって脅威そのものです。