『幽☆遊☆白書』の連載中および後年のネットコミュニティで最も白熱した議論の一つが、「あれほど圧倒的だった戸愚呂弟がなぜB級妖怪なのか」という階級設定に対する疑問です。
物語が暗黒武術会編から魔界の扉(仙水)編、そして魔界編へと移行する中で、霊界が定めた妖怪ランク(S級・A級・B級・C級・D級)が明かされます。コエンマの口から「戸愚呂弟はB級上位」と明言された際、読者の間には少なからぬ衝撃が走りました。しかし、この設定には綿密な世界観の裏付けが存在します。
まず、人間界と魔界の間には霊界が張った「結界(亜空間結界)」が存在し、A級以上の強力な妖怪は人間界へ侵入できない構造になっていました。つまり、「人間界に実体として存在できた妖怪の中で、戸愚呂弟は実質的な最強峰(天井)」だったのです。人間界の常識では神にも等しい絶望的な破壊力を持っていたとしても、底知れぬ広がりを持つ魔界の生態系から見ればB級にとどまるという対比は、世界観のスケールを一気に広げる巧みな作劇でした。
さらに重要なのは、戸愚呂弟が元人間であった点です。人間が妖怪へ転生して到達できる限界値として「B級上位」は極めて説得力があり、才能の限界を筋肉で極限まで埋め尽くした悲哀を浮き彫りにしています。