急斜面にせり出すように設計された建築は、訪れる者を非日常のトリップ感へと誘う。テラス席に腰を下ろすと、視界を遮る人工物はほとんどなく、眼下には深い緑の原生林、その向こうには七里ヶ浜の海と江の島のシルエットが広がる。晴天時には遠く富士山まで望める息をのむようなパノラマビューだ。
風が木々を揺らす音、鳥のさえずり、そしてテーブルに運ばれてくる焼きたてのヴィエノワズリーから漂う芳醇な発酵バターの香り。視覚、聴覚、嗅覚、味覚のすべてが研ぎ澄まされるような没入感は、都市部の洗練されたカフェでは決して味わえない、鎌倉山という土地の磁場があってこそ成立する贅沢である。