1990年代半ば、街中から彼女の歌声が流れない日はなかった。『I BELIEVE』『I'm proud』……社会現象となったムーブメントの中心で、少女たちは彼女のファッションを真似、誰もがその高音に耳を澄ませた。だが、光が強ければ陰もまた深い。シンデレラストーリーの急展開と、その後に訪れた容赦ない試練。メディアは彼女の崩壊を面白おかしく書き立てたが、本物の才能は決して潰れなかった。
あれから30年近くの時が流れた。今、ステージ上でマイクを握る姿には、若き日の儚さとは真逆の「絶対的な圧倒感」が宿る。衰えを知らないどころか、年齢を重ねるごとに太く艶やかさを増すヴォーカル。聴く者の胸を締め付ける表現力は、数々の修羅場を潜り抜けてきた人間にしか出せない本物の「毒と薬」を含んでいる。