日本における羊肉文化の象徴といえば、言わずと知れた北海道のジンギスカンだ。その普及の根底には、日本の食肉加工業の歴史と先人たちの執念があった。
大正から昭和初期にかけて、綿羊飼育の推進とともに羊肉の食用化に尽力したのが農学者の駒井徳三だ。独特の臭みを抑え、美味しく食べるためのタレ漬け技法や調理法が考案され、これが各地の食肉加工業者を通じて北海道全域へと広がっていった。
現在、伝統的なジンギスカン鍋でタレに漬け込んだ厚切りマトンを焼き上げるスタイルは、郷土料理を超えた日本のソウルフードとして進化を続けている。