千原台の名を全国区へと押し上げた最大の原動力、それは間違いなく長距離界に刻んできた輝かしい足跡だ。冬の京都を舞台に争われる全国高等学校駅伝競走大会。エンジ色の襷が都大路のカーブを鮮やかに駆け抜ける光景は、熊本の冬の風物詩として市民の記憶に深く焼き付いている。
同校のレジェンドといえば、世界陸上女子マラソン日本代表として日の丸を背負った前田彩里を挙げないわけにはいかない。彼女が在学中に見せた驚異的な粘りと、決して妥協を許さない練習姿勢は、今なお後輩たちの血肉となっている。朝練習のグラウンドに立ち寄ると、現役のランナーたちが黙々と距離を踏んでいた。タイムの良し悪しに一喜一憂せず、自らのフォームと呼吸の乱れだけに意識を研ぎ澄ます姿は、かつて世界へ羽ばたいた偉大な先輩の影と重なる。