「会社を辞めてフリーランスになったら、手取りが激減した」「転職の合間に国保へ切り替えたら、保険料の請求額に絶句した」という相談が後を絶ちません。結論から言えば、多くの場合において実質的な保険料負担は社会保険のほうが安く、保障は手厚いという厳然たる事実があります。その背景には、仕組みそのものの非対称性が横たわっています。
最大の要因は、社会保険料の会社折半メリットです。健康保険(協会けんぽ等)や厚生年金の保険料は、事業主と労働者が50%ずつ負担する労使折半が法律で義務付けられています。給与明細に記載されている天引き額は約5%(健康保険料率が約10%の場合)に過ぎず、残りの半分は会社が支払っています。ところが国民健康保険へ切り替えた瞬間、この「見えない半額補助」が完全に消滅し、全額を自己資金から支払わなければならなくなります。
さらに退職・転職者を苦しめるのが、国民健康保険料の計算方法です。国保の保険料は「前年の1月1日から12月31日までの確定所得」を基礎として算定されます。会社員として高年収を得ていた人が退職した場合、退職直後の収入が激減あるいはゼロであっても、前年の好調な年収を基準とした高額な納付書が容赦なく届きます。このタイムラグによる資金ショートが、「知らなかった」と後悔する人々を生み出す構造的な真相です。