名匠・山岸聖太監督がメガホンを取ったミュージックビデオ(MV)は、徹底した映像美と過酷な演出で知られています。最大の特徴は、全編にわたって雨が降り注ぎ、メンバー12人(当時)全員が実際に涙を流すシーンが収められている点です。
撮影現場では目薬による涙ではなく、各メンバーが個別のシチュエーションを与えられ、役柄に没入した上で自然に涙が溢れるのを待つという本格的なドラマ手法が採られました。雑踏の中、自室のベッド、電話ボックス、夜のバス停――それぞれが異なる場所で「愛する人を失った孤独」と対峙する構図は、現代を生きる女性たちのリアルな生活空間そのものです。
MVの結末において、誰一人として劇的な救済や復縁を果たすことはありません。雨は降り止まず、ただ立ち尽くす姿で幕を閉じます。この「安易なハッピーエンドを拒否したラスト」こそが、失恋のリアルな後味を忠実に再現しており、視聴者に深い余韻と共感を残す決定打となりました。