整形外科の臨床現場や医療相談窓口において頻繁に見られるのが、「最初はちょっとした突き指や筋肉痛だと思い、数ヶ月放置してしまった」という訴えです。
ある50代女性の事例では、ペットボトルのキャップを開ける際に親指の根元に違和感を覚えながらも湿布を貼って放置した結果、約半年後にはビンのフタはおろか、包丁を握ることも困難な状態になり、受診時には母指CM関節症が進行して骨が大きく変形していました。関節軟骨は一度すり減ってしまうと自然再生が難しいため、初期のわずかなサインを見逃したことが長期の機能制限につながった典型例です。
また、近年のリモートワーク普及やスマートフォン大型化に伴い、20代〜30代の若年層でも「親指の付け根が痛くてスマホを片手で保持できない」という訴えが急増しています。SNSやQ&Aサイト上でも「親指の付け根を押すと痛い」「手首を小指側に傾けると電撃のような痛みが走る」といった声が多数投稿されており、片手フリック入力による過度な腱鞘摩擦が現代病として定着している実態が浮き彫りになっています。