黒くて丸い粒の正体を知らないまま口に運んでいる人は、今でも少なくない。あの弾力ある食感の源泉は、南米アマゾン原産のトウダイグサ科の低木、キャッサバの根茎から抽出されるデンプンだ。過酷な乾燥地や痩せた土壌でも育つ強靭な生命力を持ち、アフリカや東南アジアにおいて古くから貴重な主食として人類の命を支えてきた。
デンプンを加熱して糊化させ、球状に加工した「タピオカパール」自体は、19世紀にはすでに東南アジアや台湾に伝わっていたとされる。当時はかき氷や伝統的な甘味のトッピングに過ぎず、現在のように太いストローで吸い上げるモダンな飲み物になるなど、誰も予想していなかった。無味無臭に近い素朴なデンプン玉が、濃厚なミルクティーと巡り合う運命の瞬間は、1980年代の台湾まで待たなければならない。