村上虹郎の持つ漂うような透明感と、時に見せる鋭利な刃物のような危うさ。その才能の背景には、父である俳優の村上淳、そして母であるアーティストのUAという、極めて濃密なクリエイターファミリーの血脈が存在する。幼少期から音楽と表現が日常に溶け込んだ環境で育った彼は、型にはまらない感性を自然と身につけていった。
だが、彼は決して親の光の陰に隠れることはなかった。父・村上淳がインディペンデント映画から大作まで縦横無尽に渡り歩き、日本のカルチャーシーンで独自の立ち位置を築き上げてきた背中を、虹郎は冷静に見つめていた。親の七光りという偏見を吹き飛ばしたのは、彼自身がカメラの前で見せた泥臭くも圧倒的な演技の熱量にほかならない。