長年にわたり愛着障害や対人関係の病理を研究してきた岡田尊司 (精神科医) 氏は、著作や臨床を通して、パートナーシップにおける共感性の不一致がもたらす深刻な精神的疲弊について警鐘を鳴らし続けている。相手からの情緒的レスポンスが途絶えた環境で過ごすことは、人の心にとって「過酷な情緒的剥奪」に他ならない。
また、この概念を提唱したイギリスのカウンセラー、マキシム・アストン (心理療法士) は、カサンドラ状態に直面した当事者が辿るプロセスを分析し、早期の状況把握と適切な距離感の再構築が不可欠であると説く。
両氏の知見が示しているのは明確だ。努力や善意だけで解決しようとすると、共感力の高い側が心身のバランスを崩し、不眠やパニック症状、慢性的な疲労感といった限界状態に追い込まれてしまうという事実である。