1970年代、日本中を揺るがした写真集『激写』。そこには、篠山紀信の手によって切り取られた少女たちの輝きが凝縮されていた。なかでも山口百恵の一瞬を捉えた写真は、写真界と芸能界に決定的な衝撃を与えた。昭和歌謡のアイコンとしてヒットチャートを駆け抜ける傍ら、カメラの前で見せた一瞬の翳り。それは偶像としてのアイドルを超え、ひとりの人間としての深みを提示していた。
時代が求める空気感を敏感に察知し、それを一枚の写真に結実させる。写真集『激写』が投げかけた波紋は、単なるグラビアの枠を完全に踏み外していた。篠山輝信が父の残した記録を紐解くとき、そこには昭和という時代の熱狂と、表現者の覚悟がリアルに浮かび上がってくる。