伝統ある和泉流・野村万作家に嫁ぐということは、単に家庭を守るだけでは済まされない。門下生への配慮、贔屓筋への挨拶、そして年中行事の手配など、多岐にわたる「女将」としての重責が肩にのしかかる。徹底した気配りが求められる世界において、彼女が培った元CAとしての経験は大いに活かされた。
夫が公演や映画、ドラマの撮影で全国を飛び回る中、家守としての役割を完璧に全うする。決して前に出ようとはせず、一歩引いた立ち位置から周囲へ気を配る姿勢は、野村家に関わる多くの人々から深い信頼を獲得するに至った。狂言師・野村萬斎の完璧なパフォーマンスは、家庭という揺るぎない基盤があってこそ成り立っているのだ。