ネット上のコミュニティやSNSでは、「毎年春になると鼻水が出るから100%スギ花粉症だ」「市販の風邪薬を飲んでおけば鼻水は止まるから問題ない」といった危険な誤解が散見されます。医療現場から見た代表的な盲点を検証します。
第一の盲点は、血管運動性鼻炎(寒暖差アレルギー)との混同です。春先や秋口は朝晩と日中の気温差が10℃以上開く日が増加します。この急激な温度変化に自律神経の適応が追いつかず、アレルギー抗原が存在しないにもかかわらず、花粉症とまったく同じ「透明でサラサラした鼻水」が大量に分泌されます。血液検査を行っても花粉特異的IgE抗体は陰性となるため、花粉用の点眼薬などを使用しても改善しません。
第二の盲点は、市販の総合感冒薬(風邪薬)の乱用です。総合感冒薬にも鼻水を抑える成分(抗ヒスタミン薬)が含まれているため、一時的に花粉症の鼻水が止まることがあります。しかし、不要な解熱鎮痛成分や鎮咳成分まで日常的に摂取することになり、胃腸障害や肝機能への過度な負担を招く恐れがあります。
また、古いタイプの第1世代抗ヒスタミン薬が多く含まれる市販薬は、強い眠気や集中力低下(インペアード・パフォーマンス)を引き起こし、仕事や運転に重大な支障をきたします。鼻炎の種類に合わせた単剤治療を選択することが安全管理上の必須条件です。