では、なぜ初期の打ち切り危機から脱出し、アンケート順位を劇的に跳ね上げることができたのでしょうか。当時の読者コミュニティの反応や誌面の展開を検証すると、読者の心を決定的に掴んだ「3つの転換点」が浮かび上がります。
第1の転換点は、「我妻善逸と嘴平伊之助の本格参戦(第20話〜第27話)」です。陰惨になりがちな鬼殺の旅路に、喜怒哀楽が豊かで愛すべき仲間が加わったことで、少年漫画としてのエンターテインメント性とコメディのテンポが一気に向上しました。SNSや当時の掲示板でも「善逸が出てきてから一気に面白くなった」「炭治郎のツッコミが冴え渡っている」と評価が激変しました。
第2の転換点は、「那田蜘蛛山編における家族の情愛と柱の登場(第35話〜第45話)」です。下弦の伍・累の哀しき過去や、炭治郎と禰豆子が命懸けで紡ぐ兄妹の絆「ヒノカミ神楽」の覚醒、そして圧倒的強者として君臨する「柱(冨岡義勇・胡蝶しのぶ)」の鮮烈な描写が読者アンケートを決定的に牽引しました。
第3の転換点は、「ジャンプ作品随一のテンポ感と引き延ばしの完全排除」です。吾峠呼世晴氏は修行パートや戦闘の膠着を極限まで削ぎ落とし、毎話ごとに物語が大きく進展するスピード感を徹底しました。「毎週何かが起きる」という期待感がハガキアンケートの安定した得票に直結したのです。