抱っこ紐の長時間使用による被害者は赤ちゃんだけではありません。装着する親側にも深刻な身体的歪み、いわゆる「抱っこ紐症候群」とも呼ぶべき腰痛や腱鞘炎、骨盤の歪みが生じます。
生後半年を過ぎると赤ちゃんの体重は7〜8kgを超え、1歳前後では10kg近くに達します。この重量を前抱っこで支え続けると、重心が前方へ引っ張られ、大人は無意識に腰を反らせる「反り腰(骨盤前傾)」の姿勢をとります。この状態が数時間続くと、腰椎の椎間板や起立筋群に限界を超えたストレスがかかり、慢性腰痛やギックリ腰の引き金となります。
親の身体的負担を劇的に軽減するポイントは、「赤ちゃんの重心と大人の重心の一体化」です。
第一に、ウエストベルトの装着位置が低すぎるケースが多発しています。骨盤(腰骨)の引っ掛かりよりも下、お尻のあたりで留めてしまうと、赤ちゃんの位置全体が下がり、てこの原理で腰にかかる負担が倍増します。ウエストベルトは「肋骨の直下、くびれの位置」で水平に、きつめに締めるのが正解です。
第二に、背中のバックル位置と肩ストラップの締め具合です。背中のバックルは左右の肩甲骨の中央(ブラジャーのホック付近の高さ)に来るようスライドさせます。赤ちゃんと大人の間に無駄な空間を作らず、お互いの胸郭がピタッと密着するまで肩ストラップを引き絞ることで、重量が肩・背中・腰の3点へ均等に分散されます。