スーパーの店頭で桃の甘い見分け方を実践する際、大半の買い物客が真っ先に探すのが「全体が真っ赤に染まった大玉」です。しかし、果樹試験場の栽培データや市場関係者の見解では、表面の赤さは日光の当たり具合(アントシアニンの生成量)を示しているに過ぎず、必ずしも糖度の高さとは比例しません。プロが真っ先に目を凝らすのは、果皮の表面に現れる「果点(かてん)」と呼ばれる微細な斑点です。
果点と糖度の関係は極めて密接です。果実が樹上で太陽光を浴び、光合成によって限界まで糖分を蓄積すると、果肉細胞が急激に膨らみます。その膨張圧に外皮の成長が追いつかなくなることで、果皮表面の気孔が裂け、白い小判状の亀裂模様となって現れます。これが果点の正体です。果皮の上半分からお尻にかけて、まるで夜空の星のように細かな白い斑点が散らばっている個体は、樹上でしっかり完熟し、糖度が13度〜15度前後に達している強力なサインになります。
さらに見逃せないのが、左右対称の形状と縫合線の深さです。桃の中央を縦に走る溝(縫合線)を挟んで、左右のふくらみが均等であるかを確認してください。開花期に雌しべの受粉がムラなく均一に行われ、中心の種子(核)を取り巻く果肉へバランスよく養分が送られた果実だけが、綺麗なシンメトリーを描きます。縫合線が深すぎず、なだらかな曲線を描いている個体は、果実のどこを切り分けても糖度のムラがなく、最後まで濃厚な風味を楽しめます。