パドルスポーツにおける艇の性格は、甲板の構造によって根本から分かれます。ここで重要になるのが、クローズドデッキとオープンデッキの構造に関する理解です。
カナディアンカヌーの代表的な形状は、船体の上部が完全に開口している「オープンデッキ(オープンカヌー)」です。遮るものがないため荷物の積み下ろしが極めて容易で、キャンプ道具を満載にしたり、愛犬や子どもを同乗させたりするツーリングに威力を発揮します。ただし、構造上、荒れた水面で波を受けると船内に水が入りやすい特性があります。
カヤックは伝統的に、上面が覆われた「クローズドデッキ」が主流です。漕ぎ手はコックピットと呼ばれる小さな穴から下半身を滑り込ませて乗船し、胴体とコックピットの隙間を「スプレースカート」と呼ばれる防水カバーで密閉します。これにより、荒波を被っても内部への浸水を防ぎ、過酷な海や激流を走破できます。
なお、カヤックにはフィールドに応じた専門分化が進んでおり、シーカヤックとリバーカヤックの特徴にも明確な差異が存在します。シーカヤックは外洋のうねりや風に対応するため、全長が約4.5m〜5.2mと細長く設計され、優れた直進性と高い巡航スピードを誇ります。一方のリバーカヤックは、激流の岩をかわす回頭性を最優先するため、全長約2m〜2.5mと短く、底面が平らに近いロッカー(反り)の強い形状をしています。