Mrs. Green Apple「ライラック」歌詞の意味とMv伏線の真相解剖

Mrs. Green Apple「ライラック」歌詞の意味とMv伏線の真相解剖

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「ライラック」の核心に迫る上で欠かせないのが、2018年にリリースされ夏のアンセムとなった「青と夏」との対比構造です。当時のインタビューや特番において、大森元貴は「青と夏」を「渦中にいる青春そのもの」と位置づけていました。対して本作「ライラック」は、青春を通り過ぎ、痛みや理不尽を知った大人の視点から振り返る「追憶と再生の青春」として設計されています。

象徴的なのが、冒頭から提示される以下のフレーズです。

「過ぎてゆくんだ今日も この寿命の通りに 限りある数字が減るように 美しい数字が増えるように」

きらびやかなギターリフの裏で歌われるのは、極めてドライで冷徹な「時間の有限性」と「命の消費」です。青春をただ眩しい季節として美化するのではなく、「人生の残り時間(寿命)」という減衰していく数字と、「積み重ねてきた思い出や経験」という増えていく美しい数字を等価に並べることで、生きることの残酷さと美しさを同時に突きつけます。

TVアニメ『忘却バッテリー』の主題歌情報が解禁された際、原作ファンと音楽ファンの間で大きな話題を呼んだのが、記憶喪失によって野球への情熱を失った主人公たちの葛藤と、楽曲の精神的なシンクロニシティでした。アレンジャーの久保田真悟(Jazzin'park)とともに構築された音像は、BPM230前後に達する怒涛のスピード感を誇りながら、コード進行には胸を締め付ける哀愁が宿っています。大森元貴が制作過程で語った「傷つくことを恐れて立ち止まるのではなく、恥や後悔さえも抱えて走り抜ける強さ」というメッセージは、挫折を経験したすべての表現者やリスナーへ向けられた、剥き出しの人間讃歌に他なりません。

橋本 菜々子
著者

橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。