頭痛外来を訪れる女性患者から最も多く聞かれるのが、「普段の頭痛ならロキソニンやイブで収まるのに、生理の時だけは全く歯が立たない」という悲痛な声です。これには明確な医学的根拠が存在します。生理前後に生じる激しい頭痛の多くは、単なる疲労や緊張ではなく、月経関連片頭痛と呼ばれる特殊な病態に分類されます。
日本頭痛学会などの臨床データによると、片頭痛を抱える女性の割合は男性の約3.6倍に達し、とりわけ仕事や家庭で多忙を極める20代から40代で有病率のピークを迎えます。その引き金となっているのが、女性ホルモンであるエストロゲンの急激な血中濃度低下(エストロゲン急減ホルモンバランスの乱れ)です。排卵期を過ぎて黄体期の終盤に入ると、妊娠が成立しなかった場合にエストロゲンが急降下します。この急減が脳内の神経伝達物質であるセロトニンの分泌バランスを乱し、三叉神経を刺激して脳の血管を一気に拡張させるのです。
さらに厄介なのが、経血を体外に押し出すために子宮内膜から分泌される生理活性物質「プロスタグランジン」の存在です。生理頭痛薬が効かない理由として、このプロスタグランジンが血液を介して全身を巡り、痛みの増幅物質として働く点が見逃せません。血管拡張と炎症増幅という2つの現象が同時に進行するため、通常の消炎鎮痛薬単体では痛みのシグナルを完全にブロックできず、結果として激しい頭痛や生理頭痛吐き気の原因と真相へと直結していきます。吐き気中枢が刺激されることで胃腸の蠕動運動が低下し、口から飲んだ鎮痛薬の吸収自体が遅れてしまうという悪循環も現場の臨床医から指摘されています。