「イラストが下手に見える」最大の原因は、多くの人が無意識に行っている「輪郭から描き始める」という手順にあります。初心者が輪郭を先に描いてしまうと、輪郭のサイズに対して顔のパーツ(目・鼻・口)をどの位置に収めるべきか判断がつかなくなり、目線が泳いだり左右非対称になったりして違和感を生んでしまうのです。
取材した人気文具プランナーは、「絵心なしでも描けるコツは、パーツを顔の中心から外側へと広げていく『インサイド・アウト法』にある」と指摘します。具体的には以下の描き順を守るだけで、仕上がりの安定感が劇的に向上します。
まず、紙面の中央に「点」で目と鼻を極小サイズで配置します。目と目の間隔は「離し気味(目の横幅の1.5〜2倍)」に設定するのがポイントです。人間は本能的に、パーツが下部に集まったバランスに「あどけなさ」や「愛らしさ」を感じる心理特性(ベビースキーマ)を持っています。顔の下半分にちょこんとパーツを置き、そのあとにパーツを優しく包み込むように丸や楕円の輪郭を引くことで、失敗しようのない愛らしいバランスが完成します。
この初心者向け描き方をマスターすれば、迷い線が減り、下書きなしのボールペンイラストであっても一発で均整の取れた表情が描けるようになります。思考停止で輪郭をなぞる作業をやめ、中心の「目・鼻・口の三角形」から組み立てる逆転の発想こそが、最初のブレイクスルーです。