人間の脳には、心臓から送り出される血液全体の約15〜20%が常に供給されています。この膨大な血流を運ぶ主要ルートが、首の前側を通る左右の「内頸動脈」と、首の後ろ側の椎骨動脈が合流してできる「脳底動脈」の計3系統です。これら前後の血流システムを脳の底で合流させ、円環状のネットワークに仕立て上げたものがウィリス動脈輪(Circle of Willis)です。
この構造の最大の利点は、「側副血行路(コラテラル)」としての機能にあります。仮に首の片側の内頸動脈が動脈硬化などで狭窄・閉塞した場合でも、ウィリス動脈輪の環状ルートを介して反対側や後方の血管から血液が回り込みます。結果として脳組織への虚血を防ぎ、脳梗塞の発症や後遺症を最小限に食い止めるセーフティネットの役割を果たしています。