サザンオールスターズが10年ぶりにリリースしたオリジナルアルバム『葡萄』(全16曲)において、1曲目を託されたのが「アロエ」でした。重厚な社会批評や壮大なバラードが並ぶ同アルバムの中で、なぜこのダンサブルなナンバーが先陣を切ることになったのか。その背景には、桑田佳祐が抱いていた「まずリスナーの心と身体を解き放ちたい」という明確な意志が存在します。
本作は発売と同時にWOWOWの「2015年、WOWOW春の無料放送」CMソングに起用され、桑田佳祐本人が出演するコミカルかつスタイリッシュなCM映像とともに大量オンエアされました。当時の音楽業界ではEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)が席巻していましたが、サザンが提示したのは最新の打ち込みサウンドに80年代ユーロビート、ディスコ、そして昭和歌謡の泥臭い哀愁をブレンドした、まったく新しいジャパニーズ・ポップスでした。
アルバムの全貌を告げるプロモーションの先頭に立ち、主要音楽番組への出演やラジオでのオンエアを重ねることで、幅広い世代へ瞬く間に浸透していったのです。