『リカ』の歌詞を読み解く上で最大の論点となるのが、「主人公とリカの関係性」および「主人公の精神状態」です。爽やかなポップスとは対極に位置する、異常なまでの執着が散りばめられています。
冒頭から主人公は、リカに対する異常なほどの愛着を口にします。特にリスナーに強い衝撃を与えているのが以下のフレーズです。
「君の長い髪の毛を一本抜いてくれ」「君の流した血を舐めさせてくれ」といった表現は、一般的な恋愛描写の範疇を大きく逸脱しています。心理学的な観点から見れば、これは愛する対象の一部を体内に取り込む、あるいは手元に残すことで永遠に所有しようとする「同化願望」の表れです。
主人公の正体については、主に2つの仮説が成り立ちます。
第1の説は、「フラれた現実を受け入れられない元恋人の暴走」です。かつて交際していた記憶にすがりつき、離れていくリカを部屋に閉じ込めてしまいたいという逃避願望が描かれているという解釈です。
第2の説は、「一度も結ばれていない一方的なストーカーの妄想」です。リカの仕草や持ち物を遠くから観察し、頭の中で完璧な恋人関係を構築している異常者の独白であるという読み方です。歌詞中盤の「君を僕の部屋に閉じ込めておきたい」という欲望は、現実の関係性の破綻、あるいは最初から存在しない関係を力づくで固定化しようとする狂気の叫びとも受け取れます。