北極海を覆う氷は、地球に降り注ぐ太陽エネルギーの約80%を宇宙へ跳ね返す「白い盾」の役割を果たしてきた。しかし、海氷が解けて暗い海面が広がると、太陽光のエネルギーは代わりに海へと吸収される。これがいわゆるアルベド(反射率)低下による負のフィードバックループだ。
この海洋の熱エネルギー蓄積は、北極上空の寒気団を閉じ込めていた極ジェット気流を著しく蛇行させる。結果として、赤道からの暖気が北極圏まで一気に北上する一方で、北極の強力な寒波が日本列島や北米大陸へと急降下する異常事態が常態化した。近年の日本で頻発する猛烈なゲリラ豪雨や、季節外れの記録的寒波の背後には、北極海の氷が失われたことによる大気循環の破綻が確実に存在する。