事件の発端は1974年にさかのぼる。当時、富山県に拠点を置く大手のトナミ運輸株式会社に勤務していた社員・串岡弘士氏は、自社を含む貨物自動車運送業界で常態化していた運賃の「ヤミ談合」の存在を知る。業界全体で暗黙の協定を結び、不当に高額な運賃を維持する構造は、利用者の利益を侵害するあからさまな不法行為だった。
正義感に駆られた串岡氏は、極秘裏に証拠を収集。行政機関である公正取引委員会へと匿名で内部情報を提供した。このリークをきっかけに公正取引委員会の立ち入り調査が入り、業界の違法カルテルは白日の下に晒されることとなった。しかし、その正義の行いは、彼自身の会社員人生を30年以上にわたる暗闇へと突き落とすことになったのである。