普通の貧血と何が違う?巨赤芽球性貧血の原因と悪性貧血の決定的な差

普通の貧血と何が違う?巨赤芽球性貧血の原因と悪性貧血の決定的な差

普通の貧血と何が違う?巨赤芽球性貧血の原因と悪性貧血の決定的な差について分かりやすく解説いたします。最新の情報をチェックしてください。

巨赤芽球性貧血を取り巻く言説には、科学的根拠を欠いた誤解や、時代遅れの固定観念が依然として蔓延しています。代表的な3つの盲点を正しく把握しておく必要があります。

第一の誤解は、「通常のバランスの取れた食事をしていればビタミンB12不足には絶対にならない」という思い込みです。確かに、ビタミンB12の1日必要量はわずか2.4μg程度であり、肉や魚、卵を口にしていれば欠乏することは稀です。しかし問題は「摂取」ではなく「吸収」の破綻にあります。加齢に伴うピロリ菌感染や慢性萎縮性胃炎の進行、胃酸分泌を強力に抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)や一部の糖尿病治療薬(メトホルミン)の長期連用は、ビタミンB12の吸収効率を著しく低下させることが国際的な研究で証明されています。

第二の盲点は、「若年層には無関係な病気である」という偏見です。近年、厳格な完全菜食主義(ヴィーガン)の実践者が増えていますが、ビタミンB12は植物性食品(一般的な野菜や果物、大豆製品)には原則として含まれていません。無計画なヴィーガン生活を数年間継続した結果、20〜30代の若年層であっても重度な巨赤芽球性貧血や脊髄障害を発症して救急搬送される事例が世界的に報告されています。

第三の盲点は、「骨髄検査(マルク)をしなければ診断がつかない」という恐怖心です。かつては確定診断のために腸骨へ針を刺す骨髄検査 巨赤芽球の確認が必須とされていました。しかし現在では、末梢血塗抹標本における好中球の過分葉(通常3〜4葉の核が5〜6葉以上に増える特徴的所見)の確認、血中ビタミンB12・葉酸濃度の測定、さらに高感度な代謝中間産物であるメチルマロン酸(MMA)やホモシステインの測定により、侵襲的な骨髄穿刺を行わずに確定診断へ至るフローが確立されています。

渡辺 美咲
著者

渡辺 美咲

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。