今泉力哉の制作手法において、業界内外から極めて高い注目を浴びているのが「俳優へのアプローチ」です。監督の現場では、いわゆる「アテ書き(俳優本人の性格や喋り方の癖を観察して脚本を執筆・改稿する手法)」が多用されます。オーディションの場でも、演技力そのもの以上に「その人が普段どう生きているか、どんな話し方をするか」という本質を徹底して観察します。
そしてもう一つ、見落としてはならないのが今泉力哉のワークショップに対する厳格な倫理観と発信です。近年、日本映画界では若手俳優や志望者を食い物にする高額ワークショップの乱立や、演技指導を隠れ蓑にしたハラスメントが深刻な社会問題として告発されています。
今泉監督は早い段階からこの問題に警鐘を鳴らしてきました。「俳優から高額な受講料を搾取して映画制作の資金源にするような仕組みは健全ではない」「演出の名のもとで人格を否定する行為は断じて許されない」と公の場で主張。自らが関わるオーディションや現場では、徹底したリスペクトと透明性を保つガイドラインを導入しています。映画業界が長年抱えてきた旧弊に対し、当事者として声を上げる勇気ある姿勢は、若手俳優やクリエイターたちから圧倒的な支持を集める要因となっています。