『黒革の手帖』は過去に幾度も映像化され、大谷直子(1982年)、浅野ゆう子(1996年)、米倉涼子(2004年)、武井咲(2017年)といった名女優たちが原口元子を演じてきました。中でも視聴者の記憶に深く刻まれているのが、平成の代表格である米倉涼子と、令和へと物語を繋いだ武井咲の存在です。
2004年版の米倉涼子あらすじを辿ると、元子は派遣ではなく東林銀行の正社員として1億2000万円を横領。身長168cmの抜群のスタイルにゴージャスな着物を纏い、男社会の欺瞞を真っ向からねじ伏せる圧倒的なオーラを放ちました。ビデオリサーチの世帯視聴率調査によると、平均視聴率15.7%、最終回には17.7%を記録し、米倉涼子を「松本清張3部作」へと導く金字塔となりました。
対する2017年の武井咲に対する評判は、放送前こそ「23歳という若さで銀座のママ役は荷が重いのではないか」と懸念する声が一部で上がったものの、第1話が放送されるや否や風向きは一変しました。銀行の理不尽なリストラと格差に打ちのめされた派遣社員としてのリアリティ、透明感あふれる美貌の奥に宿る冷え切った眼光、そして「清純派」の殻を自ら破り捨てる凄絶な演技が絶賛を浴びました。平均視聴率11.4%、最終回13.0%と、ドラマ不況が叫ばれた2010年代後半において極めて堅調な数字を叩き出しています。