中世の職人・武士たちが培った実直な気風は、近代以降の日本の産業界にも脈々と受け継がれている。その筆頭が、遠江の地・浜松を発祥とするスズキ株式会社だ。創業者である鈴木道雄が織機製造からスタートさせ、やがて徹底した合理化と独創性で小型四輪車市場を切り拓いた歩みは、日本の自動車産業の金字塔として名高い。
過剰な装飾を排し、人々の暮らしに真に必要な価値を実直に追求する姿勢。この「ものづくり」に対する冷徹なまでの誠実さは、三河・遠江に根を張った鈴木一族の土壌と無縁ではない。資源の乏しい状況から工夫を重ねて道を切り拓く気骨は、現代のグローバル市場においても強い存在感を放っている。