魚籠屋を語る上で外せない二大巨頭が、職人が炭火でじっくり焼き上げる「岩魚の塩焼き」と、群馬を代表する郷土料理「おっきりこみ」です。これらがなぜこれほどまでに高い評価を得ているのか、その調理法と素材へのこだわりに迫ります。
生け簀から囲炉裏へ直行する「岩魚の塩焼き」の職人技
一般的な飲食店で提供される焼き魚と魚籠屋の最大の違いは、注文が入ってから生け簀の岩魚を網ですくい、活け締めにして串打ちする点にあります。死後硬直が始まる前の極めて新鮮な状態で、粗塩を振って炭火の灰に串を斜めに刺し、約40分から50分もの時間をかけて遠火の強火で焼き上げます。
炭火から放射される遠赤外線効果により、表面の皮はパリッと香ばしく焼き上がり、内部の水分と旨味成分は一切逃げずにふっくらと蒸し焼き状態になります。頭から骨、尻尾に至るまで柔らかく焼き上げられているため、余すところなく丸ごと食べられるのが特徴です。臭みが全くなく、川魚特有の上品な甘みが口いっぱいに広がる体験は、まさに感動を呼びます。
滋味深い出汁と極太麺が絡み合う「名物おっきりこみ」
もう一つの看板メニューである「おっきりこみ」は、幅広の手打ち生麺を、大根や人参、里芋、舞茸などの季節の根菜やキノコとともに鉄鍋で煮込んだ料理です。魚籠屋のおっきりこみは、野菜の優しい甘みが溶け出した味噌・醤油仕立ての特製出汁が染み渡り、モチモチとした力強い麺の食感と絶妙に調和します。
鉄鍋を囲炉裏の鉤(かぎ)に吊るし、グツグツと煮立ちながら取り分けるスタイルは、旅の情緒を最高潮に高めてくれます。さらに、鮮度抜群だからこそ提供できる「岩魚の刺身」や「岩魚のたたき」、香ばしく炙った岩魚に熱燗を注ぎ込む「骨酒」など、通を唸らせるサイドメニューも充実しています。