一方で、フィクションの世界におけるアプローチも多様を極めてきた。川村元気のベストセラー小説を実写化した映画『世界から猫が消えたなら』は、失われていく記憶と切ない絆の象徴として猫を描き、観客の涙を誘った。日本映画が得意とする情緒的アプローチの金字塔だ。
対照的に、CG技術を駆使してミュージカルの最高峰に挑んだ『キャッツ』は、不気味の谷現象とも称される強烈なビジュアルで賛否両論の渦を巻き起こした。実写とCG、あるいは感情移入と造形美。このふたつの作品が示した光と影こそが、製作者たちに「猫をどうスクリーンに刻むべきか」という深い問いを突きつけ続けている。