ダイエーの歴史は、そのまま戦後日本の消費社会の歴史そのものです。創業者の中内㓛(なかうち いさお)氏が1957年に大阪市千林で開いた「主婦の店ダイエー」から出発し、「良い品をどんどん安く売る」「価格破壊」をスローガンにメーカーの定価販売に真っ向から戦いを挑みました。主婦層の熱狂的な支持を集めたダイエーは、1972年には三越を抜いて小売業界日本一の座を奪取。1990年代半ばには連結売上高3兆円を突破し、名実ともに流通王として君臨しました。
しかし、栄光の時代は長くは続きませんでした。「地価は上がり続ける」という土地神話を前提に、出店先の不動産担保を元手に銀行から巨額の融資を引き出して規模拡大を続けるビジネスモデルは、バブル崩壊によって根底から瓦解します。流通業界の歩みを客観的に整理した以下の比較表は、ダイエーがどのような道程を経て再編に至ったかを明瞭に物語っています。
中内㓛氏は生前、自身の回顧録や特番インタビューの中で「消費者の利益を守るために安売りを続ける」という強烈な信念を語っていました。しかし、その強固な自負が裏目に出て、専門店やカテゴリーキラー、郊外型モール台頭への対応が遅れ、巨額の赤字を生む結果となりました。2015年の完全買収後も約10年の歳月をかけて模索されてきた構造改革が、2026年の今、最終的な清算局面を迎えています。