セール現場で消費者が最も警戒すべきは、割引の計算ミスではなく、行動経済学でいう「アンカリング効果」による心理的誘導です。
アンカリング効果とは、最初に提示された数字(定価や元の価格)が基準点(アンカー)となり、その後の判断を強く縛ってしまう心理現象を指します。例えば、最初から「3,000円」で売られている服には見向きもしない人が、「定価4,000円の25%オフで3,000円」と提示されると、途端に「1,000円も得をした」と錯覚し、購入意欲を刺激されてしまいます。
特にネット通販や大型連休のセールにおいて頻繁に問題視されるのが、「元値の吊り上げ疑惑」です。セール直前に参考価格を不自然に引き上げ、そこから「25%OFF」と銘打つことで、実質的には普段と変わらない価格で販売する手法が一部で見受けられます。
「25%引き」というフレーズは、店舗側にとっても非常に絶妙なマーケティングツールです。利益率を極端に削らずに(店舗側の粗利を維持しつつ)、顧客に「20%より一段とお得な特別感」を抱かせるマジックナンバーとして多用されます。「25%オフだから買う」のではなく、「割引前の価格に見合う価値があるか」「割引後の価格を現金で払ってでも手に入れたいか」という原点に立ち返ることが、セールでの後悔を防ぐ防波堤となります。