タイトルの「吾亦紅(われもこう)」は、晩夏から秋にかけて野山にひっそりと赤茶色の花を咲かせるバラ科の多年草です。華やかな薔薇や百合とは異なり、控えめでどこか哀愁を漂わせるその佇まいは、古くから日本の原風景に溶け込んできました。
吾亦紅の花言葉には「変化」「もの思い」「愛慕」「移りゆく日々」といった意味が込められています。また、名前の由来には「我も亦(また)紅い(自分も赤色の花である)」と主張しているという説があります。この花言葉と由来は、楽曲『吾亦紅』の主人公の生き様と見事に呼応しています。
歌詞中では、東京で夢を追いながらも挫折と妥協を繰り返し、世間の片隅で不器用にもがき続ける男が描かれます。「自分もまた必死に生きている」という母への無言のメッセージと、どれだけ歳を重ねても母の前では幼子のまま赦しを乞うてしまう心情が、吾亦紅という素朴な花を通して鮮やかに表現されているのです。