大きな悲しみの中でも容赦なく時間は進み、関係者にとっての最優先課題は「ドキンちゃん」という国民的キャラクターのバトンを誰が受け取るのかという点でした。そこで白羽の矢が立ったのが、作品内でロールパンナ役として長年共に歩んできた冨永みーなさんです。
冨永さんは、鶴さんが築き上げたドキンちゃんの愛らしさや、どこか憎めない我儘な魅力を大切に守りながら、見ごとにその声を引き継ぎました。実は、後任決定後の初録音の現場では、スタジオ全体が温かい涙と独特の緊張感に包まれていたという知られざる裏話が存在します。冨永さんは鶴さんへの深い敬意を胸に、幾度も試行錯誤を重ねながらマイクに向かったと言います。制作陣のトムス・エンタテインメントやキャスト陣がひとつになり、見事な「愛の声の継承劇」が完成した瞬間でした。