ドラフトの上位指名選手が活躍するのはある種当然と見なされるが、真に球団のスカウト能力が問われるのは5位以下の下位指名および育成ドラフトである。近年の阪神は、この領域で他球団を圧倒する実績を残している。
その筆頭が、2020年ドラフト5位で指名された村上頌樹(東洋大)と、6位で指名された中野拓夢(三菱自動車岡崎)である。村上は制球力と回転数の高いストレートを武器に、2023年にはセ・リーグ最優秀防御率、新人王、そして最優秀選手(MVP)の栄冠を同時に手中に収めた。5位指名の投手がMVPに輝くという事象は、プロ野球史全体を見渡しても極めて異例の快挙である。
さらに同年に指名された中野は、下位指名ながら即座にショートおよびセカンドのレギュラーを奪取し、WBC日本代表戦士へと上り詰めた。また、2018年ドラフト6位の湯浅京己が守護神として開花した例や、独立リーグ出身の石井大智(2020年8位指名)の躍進も見逃せない。
阪神の歴代育成ドラフト結果に目を向けると、かつては支配下登録への壁が厚いと指摘されていた。しかし、島本浩也のように育成から這い上がり、一軍のリリーフ陣として優勝に不可欠なピースへと成長を遂げた先例がチーム内に強固な土台を築いている。尼崎市に新設された二軍本拠地・小田南公園のファーム施設を含め、2026年現在は育成枠の選手に対しても最先端のバイオメカニクス解析を用いた長期育成プログラムが稼働している。