桝太一氏のキャリアにおける最大の転換点は、2022年3月末をもって日本テレビを退職し、同志社大学ハリス理化学研究所の専任研究所員(助教)へ就任したことです。民放キー局のエグゼクティブアナウンサーという高給と社会的地位を捨て、サイエンスコミュニケーションの研究という未踏の領域に踏み出す決断は、世間を大いに驚かせました。
当時40歳という節目。多くの家庭であれば、収入の激減リスクや生活環境の激変を理由に、配偶者から猛反対を受けても不思議ではない局面です。しかし、この重大な決断を誰よりも力強く後押ししたのが、他ならぬ妻でした。
当時の報道やインタビューで桝氏自身が語ったところによると、退社と大学転向の意志を打ち明けた際、妻は取り乱すこともなく、静かにこう告げたといいます。
「あなたの人生なんだから、あなたが本当にやりたいと思うことをやりなさい」
この一言に、夫婦関係の真髄が凝縮されています。日頃は厳しい言葉で夫を引き締めながらも、夫が人生の勝負どころを迎えた際には、世間体や経済的安定にとらわれず、本人の情熱と知的好奇心を全面的に信頼する。現在、桝氏は京都の同志社大学を拠点としながら、東京での番組出演(『真相報道 バンキシャ!』など)をこなす多忙な日々を送っていますが、東京と関西を往復する二拠点生活を支えているのは、都内で家庭を守り続ける妻の強固な自立心に他なりません。