治療法の選択は、個人の生活環境や身体条件と治療特性との適合性によって決まります。後悔のない選択をするための具体的な判断基準を明示します。
腹膜透析を強くおすすめできる人の条件
- 仕事を休職・退職せず、従来のキャリアを継続したい人:月1回の通院と夜間APDの組み合わせにより、有給休暇の消費を最小限に抑えられます。
- 尿がまだ一定量(1日500mL以上など)出ている導入期の人:腹膜透析の最大の恩恵である「残存腎機能の延命効果」を最大限に享受できます。
- 針を刺されることに対して強い恐怖心や精神的苦痛がある人:血液透析のような太い針(15〜17ゲージ)による週3回の穿刺ストレスがありません。
- 自己管理能力が高く、規則正しい衛生習慣を守れる人:決まった時間に手洗い・消毒を行い、手順を省略せずに実行できる適性があります。
導入に慎重になるべき・おすすめできない人の条件
- 過去に開腹手術を複数回受けている人:腹腔内に強い癒着が存在する場合、透析液が腹腔内全体に行き渡らず十分な透析効率が得られません。
- 重度の視力障害や手指の著しい麻痺・巧緻性障害がある独居の人:接続部の目視確認や無菌的なカプラー操作が困難な場合、腹膜炎のリスクが極めて高くなります(介助者が常時確保できる場合を除く)。
- 住環境の衛生状態が極めて劣悪な人:室内がほこりまみれであったり、ペットの毛が舞い散る環境を改善できない場合、無菌操作が担保できません。
- 指示された手技の手順を自己流で簡略化してしまう傾向がある人:「1回くらい消毒を抜いても大丈夫だろう」という慢心は、致死的な感染症に直結します。