参列者が無意識のうちに犯してしまいがちなのが、「言葉」と「持ち物」のタブーです。日本の冠婚葬祭マナーとして刷り込まれている知識が、キリスト教の場では真逆の無礼に変わってしまうことがあります。
筆頭に挙げられるのがお悔やみの言葉のNG表現です。普段私たちが当たり前のように使う以下の仏教由来の用語は、キリスト教では一切使えません。
- NGワード:「ご冥福をお祈りします」「成仏してください」「供養」「冥土の旅」「ご愁傷さまです」
冥福とは「死後の暗闇の世界(冥界)での幸福」を指す仏教・道教由来の言葉であり、光に満ちた天国へ還ると信じるキリスト教徒に対して「冥福」を祈ることは教理的に重大な失礼となります。また、死を穢れと捉えないため、「お悔やみ」を述べること自体がプロテスタントなどでは不自然とされるケースもあります。
受付や遺族への挨拶では、以下の言葉を用いるのが正式です。
- 全宗派で使える模範例:「安らかな眠りをお祈りいたします。」
- キリスト教に寄り添った表現:「神の慰めがご遺族の上にありますようお祈り申し上げます。」
- シンプルに敬意を伝える表現:「お知らせいただきありがとうございます。心よりお祈り申し上げます。」
次に服装と持ち物のタブーです。基本的な服装は一般的な喪服(略礼服・準喪服)で問題ありませんが、仏教葬儀とは明確に異なる禁止事項が存在します。
第一のタブーは「数珠の持参」です。葬儀と聞くと反射的に数珠をバッグに入れてしまう参列者がいますが、数珠は仏教固有の法具であり、キリスト教の場に持ち込むのは明確なマナー違反です。カトリックには「ロザリオ」という祈りの用具がありますが、これは信者が祈りの回数を数えるためのものであり、他教徒が数珠代わりに身につけたり持参したりするものではありません。
第二のタブーは「十字架モチーフのアクセサリー」の着用です。非信者の参列者がファッション感覚で十字架のネックレスやタイピンを身につけて参列することは、信仰への軽視と受け取られるリスクがあります。アクセサリーは女性であれば白または黒の一連パールネックレス、結婚指輪のみに留め、光沢のある金具や派手な装飾品は徹底して排除するのが鉄則です。